小森さんに14,460円を払います。振込先を知りません。

電話で聞けば済む話ですが、番号を知りません。はがきで聞きます。

ついでに年賀のお礼も入れます。小森さんからの年賀状はまだ来ていません。今は11月です。ただ、たぶん来ます。来てからお礼を書くと、もう1通85円かかります。先に混ぜておけば1通で済みます。

条件は前回と同じです。私の字は1文字およそ18ミリ四方で、はがきは8字4行、32字までです。

11月5日、午後半休を取りました。13時に開始しました。番号は前回の続きです。

13:05 No.8 お礼×振込先

混ぜました。乳化剤は「つきましては」です。

賀状感謝。つきましては、口座番号をお知らせください。

26字です。分離はありません。

読み返すと、賀状を理由に口座番号を聞いている人がいます。なぜ聞くのかがどこにも書いてありません。だめでした。

13:40 No.9 お礼×振込先×理由

理由を入れます。お礼は縮めて「賀正」にしました。お礼ではなくなりましたが、字数がありません。

賀正お支払いしたい金額がございます。口座番号をお知らせください。

32字ちょうどです。つなぎ目がどこにもありません。No.1からの通算で、最高の乳化です。

においがします。

はがきを持って台所へ行っても、においます。知らない人からこれが届いたら、私は捨てます。お金をくれると言って口座番号を聞いてくる文章です。

「お支払い」と「口座番号」を同じ液に入れると発生するこのにおいを、還付臭と呼ぶことにしました。

はがきから立ちのぼるにおいに棒人間が鼻をつまんでいる落書き

14:30 還付臭の測定

においは測れます。県警や自治体が出している還付金詐欺と架空請求はがきの注意喚起を読んで、書かれていた特徴を7項目抜き出しました。No.9を当てます。

特徴No.9
役所などをかたる×
電話をかけてくる×
ATMへ行かせる×
お金が返ってくると言う○
口座番号を聞く○
はがきで届く○
何の料金か読んでも分からない○

7項目中4項目です。単位はカンプにします。4カンプです。

役所は名乗っていません。ATMにも行かせません。私の手口は、かなり手ぬるいです。ほっとしました。ほっとする場面ではないと、少ししてから気づきました。

15:00 No.10 脱臭×みかん

下げます。「何の料金か分からない」は消せます。何の料金か書けばいいです。

みかんと脚立の件で一万四千四百六十円払います。口座を。

27字です。3カンプに下がりました。

別のにおいがつきました。みかんと脚立の件、という言い方は、話をつけに来た人の言い方です。あと字数を削った「口座を。」が怖いです。最後まで言わないほうが怖いです。だめでした。

15:40 No.11 脱臭×18ミリ

本人確認を入れます。小森さんは前回、自分の名前の上に私の住所が乗ったはがきを受け取っています。この字の大きさを知っています。これほど大きい字を書く詐欺師はいません。私の字は、私の唯一の証明書です。

賀状感謝。この大きな字は私です。口座番号をお知らせください。

30字です。3カンプです。

自分で「私です」と言う人を信用する理由がありません。電話でいちばん聞きたくない言い方です。だめでした。

16:10 No.12 全部×蒸留

前回いちばんうまくいった蒸留に戻します。かなを飛ばして、漢字だけ集めます。

賀状拝受未着先礼
当方支払金額確定
貴殿口座番号教示
金一四四六〇円也

8字4行、32字です。起で来ていない賀状を受け取り、承で確定し、転で口座番号を求め、結で金額が来ます。八言絶句の第2作です。結は前作と同じです。

4カンプに戻りました。字が大きいので、遠くからでもにおいます。

もう字数を動かせません。16時40分、郵便局の前のポストに投函しました。

16:50 窓口

切手を足しておこうと思って局に入ると、窓口の横に現金書留の案内がありました。

見ていました。

現金書留は、封筒にお金を入れて住所へ送るものです。小森さんの住所は知っています。はがきを出したので知っています。

振込先はいりませんでした。

料金を確かめました。お札と硬貨と封筒で定形の50gを超えるので、定形外です。100gまでが180円、現金書留の加算が480円、1万円を超えた分は5,000円ごとに11円です。14,460円なら671円です。

ポストを見ました。はがきはもう中です。

17:20 No.13 祝儀×現金書留

普通に送ればいいところですが、14,460円のうち1万円はご祝儀です。祝儀袋に入れないと失礼です。全額を祝儀袋に入れて、現金封筒に入れます。混ぜました。

表書きの「御結婚御祝」は5字で90ミリです。収まりました。私の字がはじめて、用紙に対してちょうどいい大きさになりました。少し立ち尽くしました。

中袋の「金壱萬四千四百六拾円也」は11字で198ミリです。下端から裏へ回りました。

ふくらんだ祝儀袋の横に硬貨が6枚とみかんの皮が置いてある

端数の60円は10円玉6枚です。袋の底で音がします。

窓口で中身の金額を聞かれました。14,460円ですと答えました。お祝いですかと聞かれたので、1万円ぶんはと答えました。はいと言って受け付けてもらえました。

あとで気づきましたが、14,460は2で割り切れます。ご祝儀は割り切れない額にするものです。だめでした。

評価表

番号混ぜたもの字数還付臭評価
No.8お礼×振込先263カンプ理由なく口座を聞く
No.9お礼×振込先×理由324カンプ最高の乳化、捨てられる
No.10No.9×みかん273カンプ話をつけに来た人
No.11No.8×18ミリ303カンプ「私です」
No.12全部×蒸留324カンプ投函済み、回収不能
No.13祝儀×現金書留162カンプ袋が鳴る、割り切れる

かかった郵便代は、No.12の85円とNo.13の671円で756円です。封筒と祝儀袋の代金は別です。前回はがきを1枚にして節約した510円は消え、246円の赤字になりました。

14,460円は払いました。

明日あたり小森さんの家に、口座番号を求める八言絶句と、音のする祝儀袋が届きます。お金を先に送ってきて、口座番号も聞いてくる人になりました。何カンプかは測っていません。

小森さんが律儀に口座番号を返してきた場合、受領のお礼と「もう払いました」を混ぜます。次はNo.14です。あと、1月に本物の年賀状が来たら、もう礼は済んでいます。