1. 作戦の概要

報告者は蒲田。今回こそ来てます。

前回の作戦「満潮」は、普及率0.0%という結果を残しつつ、貴重なデータも残した。対人発話63回のうち「どこの?」が38回。実に60.3%である。敗因は明白で、語の中に地名が混じっていた。半島と言えば人は場所を聞く。語が悪かった。私は悪くない。

そこで流行語第2号は、「どこの?」と聞かれない語であることを最優先に選定した。

候補想定される返し判定
付箋る「どの付箋?」不可
回覧る「どの町内?」不可
蛍光る「何色?」不可
湯葉る想定なし採用

来週の今ごろ、日本語には「湯葉る(ゆばる)」が定着している。ラ行五段活用。辞書の原稿は先に書いておいた。

ゆば・る【湯葉る】 〔自ラ五〕 話が途切れた場の表面に、薄い膜が張る。「質問はありますかと言ったきり会議が—・った」 ◇破れるときは誰かの咳による。

誰かが「何かありますか」と言う。誰も何もない。全員がコーヒーを見る。そのとき部屋の空気の上の方で、目に見えない何かが固まり始めている。箸があれば持ち上げられそうなあれだ。日本語はこれを長年「シーン」で済ませてきた。擬音に任せていい現象ではない。語彙の空白地帯、第二弾だ。「湯葉る」「湯葉ってる」を検索したところ、出てきたのは食べ物としての湯葉の説明ばかりで、この意味の用例は見つからなかった。市場はまた丸ごと空いている。

問題は期間である。前回は七日かけたので、人々に考える余裕を与えてしまった。流行とは気づいたら起きているものだ。今回は11月2日(月)0時00分から11月3日(火・祝)24時00分までの48時間で決着をつける。目標は前回と同じ普及率1.0%、1億2269万人の1%で122万6900人。総務省統計局の人口推計、2026年10月1日現在の概算値を今回も分母に使う。

48時間で届くために必要な1時間あたりの感染倍率を必要係数と呼ぶ。計算すると1.34。前回の着床係数7.41から一気に82%の改善である。単位が日から時間に変わっただけだという指摘は、計算している最中に自分の中から出たが、聞き流した。

ノルマは1時間5回、計240回。作戦名は「弱火」。

右端で真上へ突き抜ける必要係数のグラフ

なお必要係数は作戦開始後、残り時間で毎回計算し直す。遅れが出れば上がる。報告書の見出しに併記して、自分を律することとした。

2. 装備

活用表と診断基準を作成した。前回の半島度は救出の現場で一度も参照しなかったが、それは現場が未熟だったからだ。今回はストップウォッチを導入し、会議の沈黙を実測する。

活用語形例文
未然湯葉らないこの議題なら湯葉らないはずだった
連用湯葉って会議室がだいぶ湯葉ってます
終止湯葉る課長が「では」と言うまで湯葉る
仮定湯葉れば湯葉れば誰かが咳をする
命令湯葉れそこは黙って湯葉れ
意向湯葉ろう反対意見がないなら湯葉ろう
蒲田式膜厚名称持続症状
第1膜にごり5秒まで誰かの咳で消える
第2膜生湯葉6〜15秒全員がコーヒーを見る
第3膜引き上げ16〜30秒司会が「では」と言って畳む
第4膜干し湯葉翌週まで次の会議の冒頭に微かに残る
第5膜巻き湯葉異動まで送別会で初めて話題になる

蒲田式膜厚の五段階

3. 経過

11月2日(月)0時00分 作戦開始(必要係数 1.34)

寝ていた。

7時00分 起床(必要係数 1.41)

7時間で本来なら7.7人に広がっている計算だが、0人である。出だしで少し遅れた。とはいえ1.41。まだ1人が1.4人に伝えるだけの話だ。人間が1.4人というのがよくわからないが、いける数字である。

9時10分 初回投入(必要係数 1.43)

朝礼で課長が「連絡事項は以上です、何かありますか」と言い、誰も何もなかった。戻りがけに同僚の佐野へ自然に言った。

「今朝の朝礼、けっこう湯葉ってたね」

佐野が足を止めた。

「どこの?」

反射的に聞き返された。

「いや、どこのじゃなくて」 「湯葉でしょ。京都? 日光?」 「湯葉は湯葉で」 「どこのでもない湯葉はないよ」

10時25分まで、佐野が家族旅行で行った日光の話を聞いた。日光では字が違って「湯波」と書くらしい。京都は端から、日光は真ん中から引き上げるので、しわが波に見えるのだという。佐野は房総の出身である。房総の人間がなぜここまで日光の湯波に詳しいのかは聞けなかった。聞くとまた長くなる。

選定表に「想定なし」と書いた行を、席に戻って修正した。

12時30分 報道発表(必要係数 1.48)

昼休みを使い、発表文を起草した。送付先は高校生の甥である。報道機関に準ずる媒体として、高校の新聞部を想定している。

報道関係各位 「湯葉る」、この秋、日本の会議室を包む 動詞「湯葉る」が急速に話者を増やしつつあります(発案者調べ)。つきましては取材の機会を設けます。発案者の都合は全日つきます。

13時02分、返信が来た。「新聞部じゃない」。一次取材の感触としては悪くない。読んではいる。

14時00分 定例会議(必要係数 1.51)

本作戦の第一の山場である。ストップウォッチを机の下に隠して臨んだ。

14時41分、課長が「質問ある人」と言った。計測開始。8秒。第2膜。全員がコーヒーを見ている。教本どおりの個体群だ。ここだ。全員に聞こえる声で言った。

「いま、湯葉ってますね」

誰も何も言わなかった。ストップウォッチの数字だけが進んだ。10秒。15秒。後輩がゆっくりと紙コップを置いた。20秒。空調の音がよく聞こえる。

23秒後、課長が言った。

「では」

会議は畳まれた。第3膜、23秒。本作戦における最長記録を、着手初日に、私の発言が更新した。整理するとこうなる。自然発生の膜が8秒。私が破ろうとして言葉を入れたら23秒。この場でいちばん膜を厚くしているのは私である。熱源を特定できたのは大きな前進だ。

退室時、佐野が小声で言った。

「あれ、どこのって聞いてあげたほうがよかった?」

無人の会議室に残されたストップウォッチ

17時30分 敗因分析(必要係数 1.58)

この時点の対人発話は19回。「どこの?」が9回で、そのほかは聞き流しか「お腹すいたね」である。自発的な使用者は0人。

なぜ通じないのか。退勤前の20分を使って考え、結論を得た。誰も湯葉の張る瞬間を見たことがないのだ。「シーン」という沈黙は全員が知っている。だが、白い液面に音もなく膜が現れるときの、あの何も起きていないのに確実に事態が進んでいる感じを、体で知らない。比喩は体験のない者には届かない。

ならば配ればいい。言葉だけでなく現物を、作りたての実感とともに手渡す。これを物理散布と名付けた。

帰りに近所のスーパーくじら屋に寄り、1リットルの無調整豆乳を棚にあるだけ買った。十二本。一本258円、計3,096円。レジの人が「パーティーですか」と聞いた。「作戦です」と答えると、「袋、二枚に分けますね」と言ってくれた。現場の人間は話が早い。

十二キロと少しを両手に提げて帰った。指が白くなった。途中で三回置いた。

玄関に整列した十二本

22時10分 加熱開始(必要係数 1.72)

22時10分、弱火。作戦名がようやく実体を得た。

片手鍋に豆乳を注いで待つ。ぐらぐらさせてはいけない。表面がゆっくり鈍くなり、ある瞬間から明らかに「張っている」状態になる。鍋の端を箸でつつくと、皮が付いてくる。持ち上げる。破れる。もう一度待つ。

計測の結果、一枚に約9分かかることがわかった。一枚目は端が崩れて、箸に残ったのは手ぬぐいの切れ端のようなものだった。うまい。悔しいがうまい。

持ち上げた瞬間に破れる一枚目

問題はこの9分である。人に発話できない時間が9分ずつ積み重なっていく。そこで鍋に向かって発話することにした。

「湯葉ってるねえ」

鍋は「どこの?」と聞かない。作戦開始以来、初めての理想的な聞き手である。発話は順調に積み上がり、ノルマの遅れを取り戻し始めた。

そしてもう一つ。9分の待ち時間に、普及用教材を作成することにした。一枚引き上げるごとに札を一枚書く。いろは四十七札に「京」を足した四十八札の、湯葉るかるたである。流行語は子どもから広まる。正月までに全国の家庭に行き渡れば話が早い。作戦は明日までだが、種は蒔いておく。

11月3日(火・祝)1時55分 「ゐ」(必要係数 1.89)

二十五枚目で手が止まった。「ゐ」で始まる言葉を「ゐる」しか知らない。膜を二回見送るあいだ考えて、「ゐるだけで膜」と書いた。今夜いちばんの出来である。

3時40分 事故(必要係数 1.99)

だれた。正確には、寝た。

椅子に座ったまま意識がなくなり、目が覚めると3時53分だった。IHは弱のまま動いていた。鍋の中には13分ぶん余計に育った膜があり、箸で持ち上げるとバサッと音がした。茶色く、厚く、縁が反り返っている。湯葉と呼ぶには主張が強い。革湯葉と命名した。

手に持っているうちに足の裏の大きさであることに気づき、乾かしてから靴に敷いてみた。よく馴染む。この時点で私はだいぶ元気だった。

革湯葉の中敷きとしての適性を検証した

4時50分 申請(必要係数 2.08)

鍋への発話がこの時点で130回を超えた。鍋は聞いている。反応もする。温度が上がれば膜を出す。これは対人発話に算入してよいのではないか。佐野へ申請を送った。

鍋への発話を対人発話として集計する件、ご承認お願いします。

11時02分に返信が来た。「鍋は人じゃない」。それから続けて、「あと寝て」。

5時35分 札、完成(必要係数 2.14)

四十八札目「京」を書き終えた。読み返すと、前半と後半で書いた人が違う。夜の深さに応じて札が短くなっている。「ま」の札に「膜」とだけ書いたのが2時40分。「ゑ」の札には「ゑ」とだけ書いてある。5時前の私は、「ゑ」は「ゑ」であるということ以外、何も確信できなかったのだと思う。全札は本報告書の末尾に収録した。

線がよれていく絵札

8時00分(必要係数 2.40)

朝が来た。祝日である。

ここで初めて気づいたのだが、文化の日は会社がない。会社がないということは、同僚がいない。発話の相手がいない。私はこの48時間の後半に祝日があることをカレンダーで確認した上で作戦を立てたはずで、その時は「休みの人が多いほうが話題が広がる」と書いている。

8時から12時まで、特に何も起きなかった。膜が張り、持ち上げ、干した。鍋に「湯葉ってるねえ」と言った。もう鍋に言っているのか自分に言っているのか、はっきりしない。窓の外を、犬を連れた人が二回通った。同じ人だと思う。

12時29分 最後の一枚(必要係数 3.38)

十二リットルが尽きた。加熱開始から14時間19分。取れた膜は94枚。内訳は次のとおり。

区分枚数
破れて膜と呼べないもの22
革湯葉1
味見と朝食と昼食17
干したもの54

54枚を、洗濯ハンガーと物干し竿とカーテンレールに吊るした。足りなくなったので、エアコンの吹き出し口にも洗濯ばさみで留めた。部屋全体が大豆になった。干された膜が暖房の風で一斉に揺れている。普及という現象を視覚化すると、たぶんこうなる。

54枚を吊るした自室

13時05分 全社展開(必要係数 3.61)

この部屋の写真を、課のグループチャットに投稿した。文面は「本日の進捗です」。課の全員に、休日の昼に、膜の張る実感を届けた。既読は次々に付いた。

返信は無かった。チャットにも膜は張る。これは新しい知見である。

14時00分 大福楼(必要係数 4.06)

物理散布を開始した。第一目標は、前回「そう」と肯定してくれた町中華「大福楼」である。干し湯葉10枚を袋に入れてカウンターへ置き、説明した。

「これが湯葉るです。店が静かになるときの、あの膜です」

店主は袋を持ち上げて少し眺め、私の顔を長めに見た。

「そう」

二度目の肯定だ。それから厨房に戻った。出てきた皿は、餃子が二個多かった。前回の一個から倍増である。普及が進むと餃子が増えるという相関が得られつつあるが、店主はなぜか水もお代わりをくれて、「帰って寝な」とも言った。

前回比二倍のおまけ

15時30分 佐野宅(必要係数 5.20)

監査役への現物提出。佐野は玄関先で10枚受け取り、一枚ちぎって口に入れた。

「おいしいな」

来た。

「どこの?」

「うちの」と答えると、佐野は奥に向かって「蒲田が湯葉持ってきた」と叫んだ。家族の誰かが「湯葉の人?」と言っているのが聞こえた。私はいつのまにか佐野家で湯葉の人になっていた。一応、分子に入らないか確認したが、「あだ名は語彙じゃない」とのことだった。

17時00分 甥宅、かるた大会(必要係数 7.41)

残り7時間の必要係数が7.41になった。前回の着床係数と同じ数字である。七日かけて届かなかった数字に、一周して帰ってきた。単位は違うが、懐かしい。

干し湯葉11枚と、かるた一式を持参した。若年層は前回も理解が早かった。今回の主力はここである。

参加者は甥一人。読み手は私。つまり甥が全部取る。30分かけて札は順調に減っていき、甥は淡々と取り続けた。「お」の札で手が止まり、一度こちらを見たが、取った。

四十七枚目、「す」の札を読んだ。

「すくう」

甥は札を取らなかった。畳の上に、札は「す」と「京」の二枚だけ残っている。甥は黙って私を見ていた。私も黙っていた。手元のストップウォッチが14秒を指した。第2膜。若年層で初の観測である。

「いま、湯葉ってるね」と私は言った。

甥が口を開いた。

「おじさん、もう湯葉るって言わなくていいよ」

言った。甥が、動詞の連体形か終止形か判断の難しい位置で、はっきりと「湯葉る」と発音した。私はお礼を言って帰った。玄関で甥が「寝なよ」と言った。

札を取らなくなった甥

19時07分 部長(必要係数 17.7)

帰りの電車で、課のグループチャットに通知が来た。13時05分の投稿に、6時間2分遅れで、部長からの返信である。

蒲田くん、まだ湯葉ってる?

連用形。現在進行。完璧な活用である。誰にも教わらず、部長が使った。部長は前回、言葉で陸地へ救出した個体だ。やはり縁があったのだ。

19時30分に帰宅し、壁の普及地図の前に立った。作戦「満潮」の最終日に設置して以来、一度も開けなかった百本入りのケースを開けた。部長の住む市の位置に、一本目を刺した。指が震えて、少し斜めに入った。手応えしかなかった。

19時41分、佐野へ電話で報告した。

「部長が湯葉るを使いました」 「なんて」 「まだ湯葉ってる? と」 「蒲田、それは『まだ釣りしてる?』と一緒だよ」 「活用は合ってます」 「湯葉を作ってるのか、って聞かれてるんだよ。膜の話してない」

電話を切り、ピンを抜いた。抜くときに先が曲がった。

地図に穴がひとつ残った。ピンはケースに戻した。

穴がひとつの普及地図

21時40分 駅前(必要係数 407)

残り2時間20分。配る相手はもういない。ポケットに干し湯葉を数枚入れて、最寄り駅のロータリーに立った。

知らない人に自家製の膜を手渡すのは、さすがに衛生の面でよくない。この線は守る。代わりに、電話している通行人を装って、大声で話すことにした。立ち聞き偽装である。人は自分に向けられた言葉は疑うが、漏れ聞こえた言葉は信じる。

「いやもう今日の会議、ずっと湯葉っててさあ」

祝日に会議はない。誰もいない耳に向かって、19回言った。

22時47分(必要係数 約10万)

22時の時点で必要係数は1,108だった。1時間に一人が1,108人へ伝える必要がある。駅前の通行人は、1時間で私の見た限り約40人。全員に伝えても足りないが、全員の知り合いに28人ずついれば届く。その時点ではまだ、数字の上で死んでいなかった。47分経つと約10万になった。

19回目の電話を切るふりをしたとき、後ろから声がかかった。

「あの、落としましたよ」

作戦開始以来、初めて、知らない人が私に話しかけた。振り向くと、会社帰りらしい人が歩道にしゃがんでいた。ポケットから落ちた一枚の前で、その指が止まっていた。つまんでいいものなのか、判断できずにいる指だった。

「湯葉です」と私は言った。

夜のロータリーで、二人の間に数秒の間があった。私の体感では第2膜。

「……そう」

その人は立ち上がり、改札の方へ歩いていった。

二人目である。同じ「そう」が、町中華の店主から駅前の通行人へ、一日で伝播した。

つまみかけて止まる指先

23時00分(必要係数 1,226,900)

残り1時間になったので、計算上、1時間で全員に伝えることになった。わかりやすくなった。

23時59分

帰宅して、揺れる湯葉の下で、白地図を見ていた。

24時00分 作戦終了

寝た。

4. 成果

発話と反応

総発話数は272回で、ノルマ240回に対して113%の超過達成である。内訳は対人41回、鍋212回、駅前の電話偽装19回。風呂は0回だった。入っていない。

対人41回の反応は、「どこの?」が17回、「お腹すいた」系が9回、聞き流しが13回、意味の質問が2回。「どこの?」の比率は前回の60.3%から41.5%へ、18.8ポイント改善した。語の選定は正しかった。自発的に使ってくれた人は0人で、着床係数の実績は前回に続いて0.00である。

通算の発話は482回になった。

物理散布

取れた膜94枚、干したもの54枚、配ったもの31枚(大福楼10、佐野10、甥11)。未配布の23枚は現在も部屋に吊るされている。駅前で落とした一枚は拾って戻した。費用は豆乳代3,096円。餃子二個ぶんは回収した。

分子の審査

監査役の佐野に、話者の候補を提出した。全員、実際に「湯葉る」に関わる発言をした人である。審査結果を掲載する。

候補発言佐野の所見判定
甥「もう湯葉るって言わなくていいよ」それは普及じゃなくて治療不算入
部長「まだ湯葉ってる?」釣りと同じ不算入
店主「そう」語を含んでいない不算入
駅前の人「……そう」誰?不算入
佐野家の誰か「湯葉の人?」あだ名は語彙じゃない不算入
佐野本人「湯葉るって何回言うの」監査業務上の引用不算入
蒲田482回前回に続き発症不算入

分子は0。普及地図に刺さっているピンは0本、ケースの残りは100本、うち先の曲がったものが1本。地図の穴は1。

成果物 普及用「湯葉るかるた」全四十八札

右は札を書き終えた時刻である。市販の予定はまだない。

札読み札時刻
い言わぬが湯葉22:19
ろ論より膜22:28
は発言のあとに膜が張る22:37
に二の句が継げず湯葉が張る22:46
ほ報告のあとの静けさよ22:55
へ返事の代わりに膜一枚23:04
と問いかけた数だけ膜がある23:13
ち沈黙は金、膜は湯葉23:22
り理解より先に膜が来る23:31
ぬ濡れた箸では膜切れる23:40
る類は膜を呼ぶ23:49
ををかしきは部長の膜の厚さかな23:58
わ笑う門にも膜は張る0:07
か課長の咳で膜やぶれ0:16
よ夜ふけの鍋は聞き上手0:25
た立つ人の跡に膜を張る0:34
れ零点零でも手応えあり0:43
そ「そう」は肯定0:52
つ月夜に豆乳1:01
ね念には念を、膜には膜を1:10
な鍋に語れば鍋答えず1:19
ら来週まで持ち越す膜もある1:28
む無調整を十二本1:37
う腕に豆乳の跡1:46
ゐゐるだけで膜1:55
ののれんに豆乳2:04
おおじさんそれ自分の話?2:13
く苦あれば膜あり2:22
ややけど2:31
ま膜2:40
け今日はもう今日じゃない2:49
ふ二人きりだ、鍋と2:58
こ言葉は来ない豆乳は減る3:07
え駅前は明日3:16
て手応えしかない3:25
あ朝はまだ3:34
ささっき寝た3:56
き昨日買いすぎた4:05
ゆ湯葉4:14
め目4:23
み右手が湯葉くさい4:32
し知らない4:41
ゑゑ4:50
ひ人はどこ4:59
ももう5:08
せ背中が豆乳5:17
すすくう5:26
京京都か日光か聞かれる5:35

普及率

分母は1億2269万人。分子は0。前回の発表は小数第一位までだったが、今回から精度を10倍に上げて小数第二位まで算出する。

作戦「弱火」最終結果 普及率 0.00%

目標まで残り1.00ポイント。桁が増えたぶん、数字に厚みが出てきた。甥は発音したし、部長の活用は合っていたし、「そう」の話者は二人に増えた。靴の中敷きはまだ剥がれていない。次の言葉はもう、鍋の裏に書いてあります。手応えしかない。